大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和47年(む)9539号 決定

主文

本件準抗告申立を棄却する。

理由

一、本件準抗告申立の趣旨および理由は、検察官提出の準抗告申立書記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

二、当裁判所の判断

1  検察官は、本件各被疑事実につき、被疑者には罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり、かつ、刑事訴訟法第六〇条第一項第一、二、三号に該当する事由があるとしたうえ、被疑者を勾留すべき監獄を西陣警察署として本件勾留請求をしたところ、京都地方裁判所裁判官は、本件各被疑事実につき被疑者には同法第六〇条第一項第二、三号の事由があることを理由に、勾留すべき監獄を京都拘置所と定めて被疑者を勾留する旨の裁判をしたことは、記録上明らかである。

2  そこで、本件準抗告の理由の有無について判断するに、一件記録によれば、本件事案は、被疑者らが路上に停車中のパトカーに対し火炎びん数一〇本を投げつけてこれを炎上させ、右車両に乗車していた警察官に火傷を負わせたというのであつて、捜査機関である警察官を被害者とする犯行であるから、被疑者の勾留場所を決定するに当つては、これを代用監獄である警察署の留置場とするよりも、捜査機関から独立した施設である拘置所とする方が、捜査の公平性、客観性を担保し、同時に被疑者の防禦権を保障するゆえんであると解するのが相当であり、検察官の主張するいわゆる面通し等について、捜査上不便と困難を招くおそれのあることが優に推測される点を考慮にいれてみても、なお右の結論を左右するには足りない。

3  よつて、原裁判は相当であり、本件準抗告申立は理由がないから、刑事訴訟法第四三二条、第四二六条第一項により、主文のとおり決定する。

(橋本盛三郎 田中明生 鳥越健治)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例